敷金返還の基礎知識

「敷金返還」についての、基礎的アドバイスです。

賃貸住宅の「敷金」は、基本的に全額戻ってくるのを知っていますか?

賃貸住宅を引っ越す時に「今まで使用してフローリングが古くなり、壁紙も日焼けしているので敷金からリフォームする!」
と、言われて敷金がほとんど戻ってこない話を聞きます。

賃貸住宅は、家賃を支払って住宅を使用しています。
普通に使用して、フローリングに細かいキズがついてしまうのは「当たり前」です!
これを自然損耗と言い、使用したら当然に付くキズです。
そのために、家賃を支払っているのです。

家具を置いていたから、冷蔵庫を置いていたから、壁紙が周りと違った色になってしまった。
普通の生活をしていたら、家具や冷蔵庫やカレンダーなどは当然必要です。
それで、壁紙が変色したことを年経変化と言います。

これら自然損耗や年経変化で、部屋が老朽化しても使用したら当たり前の事です。
畳が古くなっても、当たり前!
だから、家賃を支払っているのです!

ですから、普通に使っていたら…難しい用語では善管注意義務違反がないつまり故意過失がなければ、
敷金をリフォーム代として取られる事はありません!!!

ちなみに相場の家賃額であれば、家賃に修繕代は含まれています。
例えば…備え付けのエアコンを普通に使用して故障したら、修繕代は大家さんが負担しなくてはなりません。

よく契約書に「解約時は、現状回復にあたり契約期間に関係なく内装費用として家賃の3ヵ月分を支払う…」とあります。
「現状回復」とは「家具など何もない部屋」を借りたのですから「家具など何もない部屋」にして返す事を言います!
つまり「現状回復」とは、新品にして返す事ではないのです!!!

ですから自然損耗』『年経変化のお金を出して使用し損耗・変化した部分で、リフォームしなくて良いのです!
つまり、現状回復の内装費用は「0円」なのです!!!
要するに「家賃の3ヵ月分を支払う…」とあっても、支払うべきお金が「0円」なので「家賃の3ヵ月分を支払う」ことはないのです。


クリップ×クリップでは、この「敷金返還」に関する無料アドバイスを行ないます!

この様な相談は「消費生活センター」や「宅地建物取引業協会の無料電話相談」でも行なっています。
また本屋に行けば、敷金返還に関する書籍も出版されています。
当然、ネット検索でも情報は入手できます。
クリップ×クリップでは、まずメールによる相談を受け付けています。
電話による相談(092−714−1277)も受け付けていますが、現在デスクの女性が育児休暇中なので留守電の時が多いと思います。
また事前連絡の上、クリップ×クリップの事務所で契約書等の持ち込み相談も出来ます。

とにかく少し「勉強」すれば、取られなくて良い敷金が戻ってきます!!!!


それでも、敷金をもどさない場合は「少額訴訟」をしましょう!

交渉しても…話を聞き入れてくれなかったら、
「敷金でリフォームをする」と言われたら、少額訴訟を簡易裁判所にしてください!
少額訴訟は60万円以下の訴訟で、訴訟費用(印紙代)は金額で異なりますが1000円から6000円、別に切手代が4500円掛かります。
例えば…、25万円の訴訟で3000円の印紙代、35万円の訴訟で4000円の印紙代、切手代は4500円分位の切手を裁判所に納めますが、裁判所が原告・被告に送った郵便物に使用して余った分は後日裁判所から返還されます。

簡易裁判所には「敷金」に関する訴状が出来ていて、その訴状用紙?に必要事項を書き込むだけです。
裁判所の人も「法律に素人」の国民が簡単に出来る少額訴訟ですから、我々に分かりやすく訴状の書き方などを説明してくれます。

よく「裁判でも何でもしてみろ!」と捨てゼリフを言う大家や管理会社の人がいますが…、
そんな人ほど、本当に裁判になると、すぐに和解を申し出ます。

しかも、プロの不動産屋さんは…敷金を戻さないといけない事を充分に知っています。
ただ「知らない人には、敷金をもどさない」と言った、汚い戦術をとっているのです!!!!
こんな…事って…許されますか!?


もし故意・過失でフローリングを傷つけたら…?

「これは、普通の生活では絶対つかないキズだ!」と言われても、あまり心配する必要はありません!
よくその場合「フローリングを全面、張り替える」と言われたりしますが…フローリングの張り替え修理は基本的に1u単位ごとです。
壁紙なども同じです。

これは判例等で確立している、壁や床の修繕単位です!
ですから「全面・張り替え」は、よほど床や壁を「全面」メチャクチャにしないと、全面におよぶリフォーム代は要求できないことになっています。

それに、故意・過失は「誰が見てもあきらか」でない場合は、大家さんが証明しなくてはなりません!

平成16年に国土交通省が「現状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を出しています。
これも参考になりますよ。


準備は、早めに!

春が近づくと、引越のシーズンとなります。
今から、早め早めに「敷金返還」に対する、準備をしておきましょう!!!!

引越をして大家さんにカギを返す前に、部屋の写真を撮って「現状回復」の証拠写真を作っておくことは大切です。

また敷金を修繕費に使うのなら、「敷金精算明細書」をもらいましょう。
そして、納得いくまで説明をしてもらうのです!

悪質な大家さんの場合は、会話を録音しておく事も考えた方が良いかもしれません。

九州では、まだまだ沈黙すると大家さんが「契約書の通り修繕費をもらいました」「修繕費が掛かったので、敷金で精算しました」などの一言で終わってしまう事が多くあります。

相手はプロだから…と、弱気になる必要はありません。
プロであるほど「敷金でリフォームできない」「原状回復は新品で返す事ではない」という事を、本当は充分に知っているのです。

とにかく、安心して下さい!
敷金返還は世間の「大きな流れ」になっています。
そして、関連の判例も多く出されています。
最終的には、法律は味方になってくれます!!!!

ただ、要求しないと「返ってくるモノ」も「返って」きません。
なぜならは、あなたの預けた敷金は、大家さん・管理会社のフトコロに「拉致」されているのですから…!!


実際にあった、話…

11年間使用した、賃貸物件の話です。

フローリング等もかなり古くなっていました。
管理会社の人が「かなり勉強しても、敷金の75%はリフォーム代に使う」と言ってきました。

「敷金精算明細書」が送ってきて、後日に説明を受けました。
しかし、話は平行線のまま。

「少額訴訟をします!」と言ったら「どうぞ、裁判でも何でも…」とのリアクション。
それで少額訴訟をしたら、なんと!逆に75%の敷金が返ってきました!!!!

11年間使用したのだから、誰が見てもフローリングは老朽化、壁紙もキッチリと日焼けしています。
網戸は、11年の歳月でボロボロ…。
しかし75%は、リフォームの必要のない「自然損耗」と「年経変化」であると、裁判所は認めてくれました!!!

これ!実際にあった、話です。